授業で大切にしていること

キャリア教育の入口「自分はどんな人なのか?」について考えること

 

自分はこんな時に…うれしくなる・悲しくなる・がんばれる…
など
自覚することが大切だと考えています。

「自分の感じ方」を自覚することは、
一見ささいなようでいて、
実は自分の価値観や大切にしたいことを
知るための大きな手がかりになります。  

私が普段接している若者たちの中には、
これまで常に周囲が期待しているであろう方向を
選択してきたという方もいます。

真面目で、人の期待に応えようと
努力してきたことは素晴らしいことですが、
その一方で、自分自身が何を望んでいるのかが
見えにくくなってしまうこともあります。

そのような方に
「あなたが本当に望んでいるのはどんな状態ですか?」
と問いかけてみると、
いくら自分の中を探しても答えが出てこない
という場面に出会うことがあります。

考えようとしても言葉にならず、
戸惑いながら立ち止まってしまうのです。

中には、
「私、いつも親が喜ぶものを選んできたんですね。
 自分のことを主張したことがなかったです」
と話す方もいます。

その言葉からは、今までどれだけ周囲を大切にして
生きてきたかが伝わると同時に、
「自分自身の声」に目を向ける機会が少なかった
ことも感じられます。

日常の中で自分の感じ方に目を向ける時間を、

時々でもいいので持ってほしいと思っています。

特別なことをする必要はありません。
「今うれしいと感じているのはなぜだろう」
「なんとなく嫌だと感じたのはどうしてだろう」と、

自分の気持ちに少しだけ丁寧に向き合ってみること。

その積み重ねが、
やがて自分の価値観や大切にしたい生き方を
形づくっていきます。

キャリア教育とは、職業を選ぶための準備であると同時に、
「自分を知るための時間」を大切にする営みでもあります。

自分の内側にある小さな感情に気づき、
それを言葉にしていく経験は、
将来「自分で選ぶ」場面に立ったときに、
大きな支えとなります。

だから私は、生徒たちに自分の感じ方について
考える機会を少しずつでも持ってほしいと願っています。


そして、その気づきが、自分らしく生きていくための
土台になっていくことを大切にしています。

 

キャリア教育における問題提起「なんのために働くのか」


まず、子どもたちに「人はなんのために働くと思いますか?」
という問いかけをします。

すると多くの場合、「生きるためにお金を稼ぐため」
という答えが返ってきます。

これはとても自然なことであり、
もちろん大切なことです。

生きていくために必要なものを手に入れる、
そのために働くというのは、
まさに第一義であり、基本となる考えです。

次に私は、
「そのお金で何を買うのか、どんなものが必要なのか」
を問いかけます。

食べるもの、住む場所、衣服、
あるいは好きなことに使うものなど、
さまざまな答えが出てきます。

そしてさらに問いを重ね、
「それらが満たされたとしたら、それ以外で何を得たいですか」
と考えてもらいます。

ここで初めて、答えが少しずつ広がっていきます。  

「人の役に立ちたい」

「やりがいを感じたい」

「楽しいと思えることをしたい」

「自分らしく生きたい」


など、子どもたち一人ひとりが、
それぞれの言葉で考え始めます。


この問いには、正解というものはありません。

どの答えも正しく、その人にとって大切なものです。

むしろ大切なのは、
「自分はどう思うのか」を考えること、
そのこと自体なのだと思います。

そして、その答えが人それぞれ違っていてよい
ということを知ることも、とても重要です。

自分について考えることは、ときに難しく、
すぐに答えが出るものではありません。


しかし、考え続ける中で、
自分が大切にしたいものや、
自分らしさが少しずつ見えてきます。

そして、他の人の意見を聞くことで、
自分とは違う価値観があることに気づき、
自分の考えをより深く捉えることが
できるようになります。

私はこの問いを通して、自分について考えること、
そして他の人の違う意見を知ることの大切さ
を伝えたいと思っています。

その積み重ねが、やがて
「自分はどう生きたいのか」
という問いに向き合う力となり、
働く意味を自分自身の言葉で語れるように
つながっていくと考えています。
 
 

キャリア教育の期待感


中学生には、まず
「こんなにたくさんの職業があるんだ」
ということを知ってほしいと思っています。

そして、世の中にはさまざまな人がいて、
その人たちがさまざまな仕事をしながら
社会が成り立っている

このことに気づき、
自分もその一員として関わっていく未来を、
少しでもわくわくしながら
思い描いてほしいのです。


時々、依頼の中で
「仕事の大変さを教えてやってほしい」
というご要望をいただくことがあります。

もちろん、仕事には大変なことや苦労もある
という現実を知ることも必要です。

しかし、そればかりが強調されてしまうと、
「社会に出ることは大変でつらいことばかりなのではないか」
と感じ、未来に対して前向きな気持ちを
持ちにくくなってしまうのではないか
と感じることがあります。

中学生の段階では、まず

「やってみたい」
「おもしろそう」
「こんな仕事もあるんだ」

といった、前向きな感情や興味関心を
育てることが大切なのではないでしょうか。

仕事の大変さを理解することは、
その先に続く学びとして必要になってきますが、
最初の入り口は
「興味」や「期待」であってほしい
と私は考えています。

社会に出ることが楽しみだと感じられること、
自分にもできることがあるかもしれないと思えること。

そのような気持ちがあるからこそ、
人は困難にぶつかったときにも踏ん張ることができます。

仕事には大変な面もあるけれど、
その先にはやりがいや楽しさ、
達成感があるということを
伝えることが重要なのです。

私は、子どもたちが将来に対して希望を持ち、
「自分もやってみたい」
「少し頑張ってみよう」
と思えるような働きかけを
していきたいと思っています。

仕事の楽しさや意味を感じられるその時まで
踏ん張る力を育てること、
それもまたキャリア教育の大切な役割だと考えています。
 

生徒たちが自分らしい一歩を踏み出すきっかけづくりに、ご関心をお持ちいただけましたら幸いです。
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